和歌山家庭裁判所 昭和53年(少)472号 決定 1978年10月16日
主文
少年を初等少年院(一般短期)に送致する。
理由
(非行事実)
昭和五三年七月一九日付、同年九月三〇日付各検察官作成の送致書審判に付すべき事由欄記載及び交通事件原票(番号和二二三七二六)違反事項欄記載のとおりであるからこれを引用する。
(適用法令)
各刑法二三五条(六〇条)。
道路交通法六四条、一一八条一項一号。
(処遇理由)
少年は既に中学二年時窃盗で児童相談所の指導を受けていたにもかかわらず、しかも中学生でありながら、居住地のほか和歌山県南部や北部の非行青少年(主として、少年よりも年長で、有職者。現在少年院在院中のものが多い。)と交友し、本件非行(そのほかに、当庁田辺支部係属中の事件もある。)を重ねていたもので、その非行性は強いものといわねばならない。
また、実父が昭和四七年少年の実母と離婚し、若年の女性と再婚して、現在その間に二児をもうけており、少年に対してはほとんど放任状態で、保護者の保護能力としては極めて弱いこと、在籍校では、もう一度少年に対し特別の教育をしたい旨表明しているものの、少年のこれまでの就学状態からすると、必ずしも学校だけに少年の教育を任ねることもできないことが認められる。
以上の諸点を考慮すると、いわゆる段階的処遇の点で問題があるけれども、この際、専門機関の意見どおり、あえて少年を初等少年院に送致し、短期の矯正教育をしながら、義務教育を続け、少年が高校進学を希望すれば、そのための十分な措置を少年院に期待するのが少年に対する最良の処遇であると考える。
よつて、少年法二四条一項三号、少年審判規則三七条一項を適用して、主文のとおり決定する。